5月29日(土):資料保存ワークショップ番外編「羊皮紙を使ってみた!」その2

その2で完結です。

各々、リボンを持っての参加。
リボンてなんだか心が躍るのは私だけでしょうか。
プレゼントや特別なものを連想させるのです。
メンバーの中には、かわいいお菓子のまあるいカンカンに、これまで集めてきたリボンたちがきれいに丸めてきゅっと目いっぱい詰め込まれていました。
缶の蓋を開けると、バラのブーケの様!
乙女心を呼び起こさせます。

さて、羊皮紙のブックカバーも完成形は、そんなリボンを使います。
前回、その1で各々、羊皮紙を切り作ったブックカバーの背から表紙・裏表紙の平のところに
上下に6カ所の穴を開けて、リボンを通し小口側で結べるようにして、完成です。
このリボンですが、ちゃんとした機能があります。
羊皮紙は、たわむのです。気温や湿度でうねり、波打つのは中の本にとってよくありませんね。
そこでそのたわみを起こしにくくするための骨の役割(私的解釈です。)を担ってくれるようです。
ですが、見た目もよし!ですよね。
リボン通し用の穴の位置は厳密に決まっているわけではなく、強度とバランスを考えて。

私は、愛蔵の故山口汎一先生のぱなとりゑシリーズから豆本「十二支事始」をチョイス。
豆本だけに、かなり小ぶりで、平の部分の面積が小さいことから、リボンというよりは、コード。手持ちのアクセサリー用のコードを使用しました。
なので、目打ちで穴開け。
平たいリボンを選んだ方は堤さんご持ってきてくださった平目打ち?を使ってハンマーで穴あけです。平目打ち、ちょっと使いたかったな。



リボンは、内側から通して最後、小口側で結べる形になります。

蝶結びっていいですね。
一気に特別で華やかな雰囲気になります。
本のプレゼントにも良さそう!なんてわいわいメンバーと盛り上がりました。
資料保存の現場で使用する際は、リボンの材質もきちんと吟味する必要がありますね。
薬剤のついていないコットンか丈夫な麻が良いでしょうか。




堤さんは、羊皮紙は、書写で使用し書き間違った際など薄く表面を削って使うことがある、製本の意匠として、下に模様の入った紙を選び透けさせるよう削るのもいいかもしれないとアドバイスを頂く。
なるほど~。
重ね技、透け感を利用することが出来るのも和紙と似た特徴かもしれない。
皮なのに和紙と似ているかも!?なお話は、堤さんが活版印刷研究所サイト「WEBAMAGAZINE」の私たちのコラムの記事で触れられています。


学部図書館所蔵のケルムスコット板を何年か前に資料保存ワークショップのみんなで見に行ったことがあります。
同じような形態だったのが思い出されます。
それはカバーではなく「リンプヴェラム装」という、れっきとした製本様式。
ヴェラムは、仔牛の皮のこと。
リンプは、柔らかいの意。
背の綴じの支持体がそのまま背から表紙・裏表紙へ抜けて、小口で結ばれる形。
今回の私たちの羊皮紙体験で作ったブックカバーはそれを模したものです。

今回のお話。詳しくは
活版印刷研究所 > 「WEBMAGAZINE」の
「京都大学資料保存ワークショップ」でも6月15日にUP予定です。
そちらもどうぞご覧くださいね。

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活版印刷研究所サイトの「WEBMAGAZINE」での、資料保存ワークショップによる記事は、毎月15日に更新です。
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次回開催は、6月20日(日)
またブラデル製本の続きに戻ります。
※ 現在ご新規参加者の受付は中止しております。







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