11月21日(土):資料保存ワークショップ番外編「道具考 膠用の筆」

昨日#資料保存ワークショップ番外編 でした。

先月は、台風直撃予報でお休み(結局は大したことはなかった)だったので2ヶ月ぶりの開催。 ほんとに、皆さんの笑顔と話し声と笑い声が間近で感じられることがこんなにもうれしい2020です。 前回どこまでやったかなぁ〜、ってなってしまうあるある。 今日は道具のメスの調達や、お休みだった間に学んだことなどを情報交換。 2、3時間なんてあっという間です。

お一人は、表紙裏表紙の裏打ち。(表紙用のマーブル紙が美しくて、みんな感嘆の声。名古屋の #
紙の温度 さんで購入されたそうです。)
お一人は、綴じ糸の支持体の麻紐をほぐす作業へ。
お一人は、天のはみ出しを直角定規を当てメスで切る作業。
私は、最終丁と裏表紙、ケース裏表紙。最初の丁と表紙、ケース表紙を足継ぎ紙で繋げる作業。

番外編は、急がず、皆それぞれのペースで工程一つ一つを確認しながら進めて行けるところが、この会の良さだと思う。



そうそう、昨日は五条の #画箋堂 さんへ、道具類を買いに。

固めに使用する膠
膠を溶かすための筆
三角定規
裏打ち寒冷紗

これらを購入したのですが、膠を溶かすための筆選びに苦戦。
ですが、お蔭で一つ学べました!

膠は前回のブログ記事でも触れたように、湯せんで熱し溶かし作ります。
その時に筆で混ぜるのですが、安価すぎたりする筆は混ぜているうち、熱への耐久性が低いのか、みるみる毛が抜けてしまったのです。
そこで膠を混ぜるのに耐えうる筆を探していました。
刷毛屋さんとかに行けばよかったのでしょうけど、そこまでの時間も無く、
既にお試しで100均のクッキング用の刷毛を買ってはいるのですが、
絶対太すぎる!そしてしなり過ぎる!気がするのでした。

熱に強くてはいけないですが、背固めに使う膠を塗るのですから、綴じ糸や丁と丁との隙間などにぐいぐいと入ってくれるような細かな動きも求めたい。
となると、やはり「筆」な気がします。
画箋堂さんの筆売り場で腕組しつつあれこれ手に取り思案。
予想通りですが、「絵具含みがよい」とかの特徴は書かれていますが、「熱に強い」なんて文言は書かれていません。
ふと私の記憶がよみがえりました。
大学の時にちょっとかじったろうけつ染め。
熱し溶かした”ろう”を生地に置く際、筆を使っていました。
当然使っているうちに抜け毛(!)はありましたけど、あの筆は専用の筆。
あれならいいのでは! 我ながら名案、と思ったけど、ろうけつ染めの筆は穂先の尖ったものしかありませんでした。
背に塗るのです、平筆がほしい~!
意を決して親切そうなスタッフさんを選んで声をかける。
用途はなんですか?と言われ、あれこれ説明。
スタッフさんも熱に強い、という筆は分からず、筆のメーカーさんに電話で尋ねて下さいました。
ありがとう~~~!
熱に強い毛は「羊毛」だそうです。
ろうけつ染めの筆も「羊毛」だそうです。
で、ろうけつ染め用ではないけど、絵筆で同じ羊毛製で一番強いという
「 #白鬚平筆 」というのを勧められ、お値段も手ごろだったので迷わず購入。

こういうこともお話ししてみないと分からないなぁ、って思ったわけです。
また一つ賢くなってしまいました。
早く試したいなぁ。

道具考としては、メスの話もいろいろだったのですが、それはまた今度に。


それから、今年はオンラインで開催だった「第106回 全国図書館大会 和歌山大会」の
期間限定公開動画(事前申請要:〆切済)の
第8分科会「資料保存」>簡易な保存容器」をみんなで視聴。
出演者の川原さんとは、私たち資料保存WSの主宰者である堤さんを通じて最近知り合うことが
出来た方。
中性紙の紙製の帙がすぐに作りやすそうで良いです。
初心者にもとても分かりやすい丁寧な内容でした。
(この図書館大会のアーカイブ、どうして期間限定なのか。もっと広く閲覧できるようになぜしないのか、関係者にはとても有益な内容なのに。。。と、この世界の間口の狭さにまた頭の中は曇ります。)


次回の開催は、
12月19日(土)です。

ちょっとまた不穏な雰囲気の世の中になってきました。
慎重丁寧な日々を暮らしながら、希望を持って過ごすのみです。
またみんなで楽しく作業します。神様!

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