9月12日㈯:資料保存ワークショップ番外編 「膠を背に塗る!」

1ヵ月足らずぶりの資料保存ワークショップ番外編でした。
この日は、前回来られなかった方の参加もあり、また久々の元気な姿に喜びあう。
やっぱり人と会えるのは有り難い。

さて、前回かがり台を使って背を綴じる作業に入られた方は、宿題をこなされ、
美しく綴じられた本を持ってこられたので、膠でその綴じた背を固めるという工程に入りました。

久々の参加の方は、各ページを正しい位置で折り直すという作業で、ページを折った位置を透かして見る必要があるので、こんな時、あとりえ一頁にある通称・昭和の取り調べ灯(スタンドライトです。あとりえ一頁には古い道具がちらほらあります。そんな話もどこかで触れてみたいと思います。)がまた活躍です。
私はまだまだ本の形になっておらず、本文がバラバラの状態。
白見返しを切りそろえたり、表紙と裏表紙を切ったり。
中々追いつきません。


膠は、染料屋さんや薬屋さんなどで棒状に固められたものが売られているのを昔は時々見まかけましたが、最近は細かな粒状のものも売られているようです。これだと、必要な量を必要な時に短時間で作れます。動物性の膠は、一度溶かすと傷みやすく、カビも生えたりして、長期の保存に向かないのだそう。他には板状のものも売っていると聞きました。ゼラチンみたいですね。

昔は牛や豚を家畜とされていたお家や、食肉加工されるお店なんかで副産物的に作られていて、安価で手に入ったそうですが、最近はそういった生業が減り、売られているところを探すのもちょっとした苦労があるようです。
頂いた命、無駄なく使わせて頂きたいものだなと思いました。
和紙にしてもそうですが、工芸品を作る材料そのものを作る職人さんが減ってきている現代です。

湯せんで溶かした膠。溶けていくに従い、マスク越しでもちょっと独特なにおいがしてきます。冷めるとすぐに固まってしまうので、大急ぎで綴じた背の形を整えて筆で塗り込み、完全に固まらないうちに独特の形状したハンマーでなでつけます。

製本の道具は本当に多種多様です。


            







背の破損した本を修理するとき、ラクダみたいな色のカチカチに固まったものが背にこびりついているのをよく見ます。これを可能な限りきれいに取り去らないと、上から糊を塗ってもその上に重ねる背が定着しないのです。
綴じ糸を切らないように気を付けながら、カッターの背などでポロポロと剥がすのですが、あぁ~、あのポロポロがこれかぁ。とやっと出会えたような感覚でした。

次回は、10月10日(土)の開催です。


~コロナ感染予防で3密回避のため、しばらく新規の参加者募集をお休みいたします。ご容赦くださいませ~

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