2023年5月6日(土):資料保存ワークショップ番外編【修理の日】「綴じ方を検討する。」

表紙クロスの漂白が済んだので、
本文の綴じ直しに取り掛かるべく、どのように綴じるか考察する日となりました。

すでに元の綴じ糸は切って、本文はばらしてある状態。
元の綴じ糸の綴じ穴の位置や大きさを確認。



綴じ穴はこのまま使えそう。

元の糸は、ばらした時に切ってしまったので使えません。
新たに綴じ糸を用意する必要がありますが、
同じ太さの糸では、細すぎるので、重たい画集を支えきれない!
綴じ直しに使用する糸は元の糸よりは太くしたい。
でも、むやみに太い糸にすると、綴じ上がった状態は元の画集より厚みが出てしまう。
そうなると、元の表紙に収まらなくなってしまう。
こういうことも考えなくてはなりません。

製本より、修理で綴じ直す方が難しいのは、
できるだけ元々の材料を使う、できるだけ元々の状態に戻す、
ことが制約にもなってしまうのだな~。




背表紙を外した段階で、糸の細さを補うために、綿テープ(綾テープ、綾紐とかも言います。)を支持体に使用する方針を立てていました。
再度、用意していた綿テープを充てるとちょうど綴じ穴と綴じ穴の間に収まる!
これも予定通り使いましょう!





で、糸の太さはどれくらいだと元の表紙に収まるのか?
苦手な計測と計算をせねばなりません。

ここからは、メモ的に。

本文(綴じ糸を抜き取った状態)
・44丁(2枚重ね)
・厚さ:27mm
・綴じ穴:8つ(1丁に対して)

綴じ糸の太さ
・元の 0.09mm
・綴じ直しに検討の糸 0.15mm
その差 0.06mm

好きな道具の一つ 厚さばかり

A.
新しい糸を使って綴じた場合の一丁の厚さ:0.15+0.6=0.75 
綴じた際の本文の厚さ:0.75×44丁=33

B.
本文表紙・裏表紙に回り込む支持体綿テープの厚さ:0.48mm
0.48×2=0.96

A+B=綴じ直した本文の厚さ:33+0.96=33.96


背の幅を測ると、37(一番広いところで。)


この糸で綴じても、元の表紙に収まるっ!


「でも、測るの、厚みだけで大丈夫?」

表紙の幅、前小口は飛び出さないかい???
ということで、また計測。

表紙の幅:255~257mm
1丁の幅:254mm
元々かなりギりでした。

254+0.48(綿テープの厚み)+0.15(糸の厚み)+0.25(寒冷紗の厚み)※綴じた後は背に寒冷紗を貼ります。
=254.88mm

表紙幅に収まりますっ(^^)b=☆

・・・計算では。


この日は、ここまで。

修理経験豊富なメンバーが揃う次回にこの方法で大丈夫か
確認することになりました。


次回開催は、
7月となりそうです。
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