11月5日(土):資料保存ワークショップ番外編【修理の日】「実験!表紙クロスのハイター漂白」

10月の日記が書けていません。
これはまた別の機会で触れたい内容。
ちょっと触れると、和紙の端をミリ単位でカットして直角を出す、という方法について
堤氏と先輩I氏と取り組んだのでした。
#世の中の紙屋さんの断裁の精度ってこんなもんなの!?
と困惑する出来事があったのでした。

と、そんなことになるきっかけになる大きな出来事がありまして。
それもまた別記事で。
でもこれもちょっと触れると
まちライブラリ―で一箱本棚オーナー制度の中心となる
静岡県焼津市駅前商店街にある「みんなの図書館さんかく」さんで
和綴じのワークショップをさせてもらうなんて、これまでないような飛び出し企画があったのでした。・・・また追々。

ーーー


この日は、画集の表紙についた
カビやフォクシングと思われるシミを取るべく、ハイターを使った漂白実験を行いました!

本の修理に、塩素系漂白剤いわゆるハイターを使うなんて、
図書館員の資料保存の観点ではたぶんありえない過激な方法。
現場では絶対できません。
だから、やるのです!
ネットでは、古書店の方や、個人の方が書き込みや食べ物や飲み物のシミ取りに
ハイターを使われている記事が見つかります。
私たちも、それくらいの効果なのか試してみたいと思ったのです。

預かっている画集は、麻の様な荒めのクロス張りの生成色の表紙が全体的に茶色くシミや
斑点が浮かび上がっています。
油絵の絵かきだった父の恩師の持ち物なので、油絵具と思われる汚れもところどころにあります。

ただ、過激な方法。
希釈なのか原液なのか、明記したネット記事が見つかりません。
大事を取って、十分な希釈濃度から徐々に希釈を弱めて試してみました。


今回はクロスを芯材のボードから外すことはしないので、
水分を多く含んで、クロスがボードから浮いてしまったり、色見返しにしみ出すなんてことを避けるために、漂白剤を塗布したら、ウエス噛ませてプレスして水分を吸いとるように慎重に行いました。

重ね方▼
ーーーー
プレス上板
クリアファイル(水分を通さないようにするため)
キッチンペーパー
クロス
表紙
色見返し
白い紙
クリアファイル(水分を通さないようにするため)
色見返し
白いコピー用紙
カッターマット
レジャーシート
プレス下板





■ 塩素系漂白剤(ハイター)の希釈倍率と実験の工程

① 水希釈10倍 含ませた布を5分当てる → 10カウント & 1min. プレス
  → 変化なし

② 水希釈5倍 含ませた小さい布をピンセットでつまんで直接シミにトントンと当てる → 1min. プレス → 濡れているのでキッチンペーパーを当てて 5min. 重し
  → 変化さほどなし

③ 水希釈2.5倍 Bと同様の方法
  → 少し漂白された!

④ 原液100% Bと同様の方法 
  → みるみる漂白された!フォクシングが消えた!クロスが薄緑色?のように変色して見えた。


刺激の強い塩素系漂白剤なので、慎重に段階的に濃度を濃くして実験したが、
結局④の原液でないと、目に見えた漂白にならないことが分かった。
変色のような現象に警戒したが、後日確認すると、元のクロスの色に馴染んでいた。
恐らく水分を含んで色が濃く見えたのだろう。
①~④は部分的に位置を変えて試したので、
後日どこに実験したか分かるように、希釈の割合をマスキングテープにメモして貼り付けたのだけど、それでもどこに施したか、ちょっと曖昧なくらい馴染んでいた。(柄物のマステで見づらいのは反省。)



さて、次回はクロス全面に塩素系漂白剤いわゆるハイターをかけるのか、
かけるとしたら、どのように行うか、思案しどころである。



12月の【修理の日】は、お休み。
次回開催は、
2023年1月!(えーっ!?)
日程が決まり次第、HP等でお知らせします。


お問い合わせは、こちらまで。
atelier.1page★gmail.com
(★マークを@に変えて使用ください。)


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