11月19日(土):資料保存ワークショップ番外編「エトーを使って背固め」

先月は山野上先生アトリエからの道具類搬出入作業をしたため、ブラデル製本は2か月ぶり。
そして今日から、堤氏と山野上先生のアトリエへ通われていた方もこの番外編に参加頂けることになった。

librarianのためのアトリエ、あとりえ一頁は2019年から始まり、少しずつ活気づいてきたように感じます。

さて、山野上先生のお宅からエトーも頂きうちには計2台もエトーが設置されました。

メンバーのM氏と同じ工程の私。
背の支持体を力紙に貼り付けるところで前回を終えていました。
この日は、
エトーに挟んで、綴じて膠で固めた背をさらに整え成形する作業です。



1. 
本文背の耳に表紙に使うカルトンの向きを変えて、小口側となるほうを耳に当てる。その上に1cm弱くらいの厚みのある板を当て、表紙裏表紙と両側からその組み合わせで本文を挟む。

この時、スコヤや直角定規などを使って本文の天地、小口側の厚みが直角になっているか確認する。


2.
位置が決まったら動かないように、そっとエトーに挟む。
・・・なので、この作業。エトーのすぐ近くで行うことが大切。製本の工程に使用する道具や機械類の配置がとても重要な要素となるのだと知る。

3.
上手にエトーに挟めたら、背の全面にたっぷりと正麩糊を刷毛で塗り込む。膠でかたまっていた背が少しやわらかくなるくらいまで行うので、乾燥する環境ならラップをかけてしばらく置いておいてもよいのだそう。



4.
正麩糊が馴染んだら、フロットワールという背のくぼみに削られた木製のヘラの様なものを両手でしっかりと握り込んで、背の中央から天側、地側と外側へ向かって成形する。



フロットワールにこそげられた糊が溜まると、拭き取る。
整うまで、また正麩糊を塗りこみ、フロットワールで成形するのを繰り返す。背の丸みが均一かどうか鏡を当てて確認することも適宜行う。

5.
整ったら、天の小口、地の小口に紙定規(帯状の紙に印を付けて寸法を採る)を当てて、同じ長さか確認する。

6.
同じ長さになれば、背に残った糊を和紙くず(予め日ごろから貯めておくとよい。)かウエスでしっかり拭き取る。
完全に乾くまでエトーに挟んだままにして置く。24時間くらい。湿気の多い季節は2~3日。

7.
乾いたら、エトーから外し、カルトンの向きを元に戻してまた耳に当て、プレスに入れて保管。次の作業を待つ。



4~5の作業で、真っ黒に汚くなっていて、ちょっとめげそうなほどの有様だった私のブラデルですが、正麩糊でこする作業で、丸み出しハンマーの黒皮汚れが、みるみるきれいに落ちてくれたのでした!
これはうれしい。
黒い汚れが取れると、綴じた背の様子がそれなりに見えてきました!
背にも私の気持ちにも光が差した!!!



堤氏や参加者のI氏の話では、
正麩糊は実際、資料保存、修復の現場で汚れ取理としても使われるのだとか。

個人的に、汚れが取れることと、フロットワールの丸くてすべすべとした触り心地の良さで、この作業は綴じと同じくらい好きな作業と感じたのでした。




次回開催は、
12月3日(土)
13:00~17:00

途中参加途中退場あり




お問い合わせは、こちらまで。
atelier.1page★gmail.com
(★マークを@に変えて使用ください。)


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