6月18日(土):資料保存ワークショップ番外編「丸みだし!」
エトーという大きなプレスがアトリエに加わった。
専用の台の上に乗せられたハンドル付き、丸みだしの耳を作りやすいエッジのある金属プレートが付いたプレス。
親しみ込めて’’エトーさん’’と呼んでいる。
さて、前回支持体をほぐすところまで行った私は、
今回は余分な色見返しをカットし、
いよいよ丸みだしの作業へ。
硬く絞ったスポンジで膠でかたまった背をトントントン・・・
背を少しやわらかく湿らせる。
台の上に、本文を背を向こう側になるように置いて、
マルトーの側面。平らな部分で背の真ん中から手前に背が倒れるようにドンドン!と叩く。
結構力任せ。
それを両面やる。
背の倒れぐらいは、ちょこちょこ横から見たりして確認しながら進める。
ある程度倒れてきたら小口側にできた溝に抑えている親指を押し込んで、背の方向へグイッと押す感じ。
こんもりかまぼこ状の山が出来た!
平に置いて、スコヤを当てて天地が直角になるように整える。
私にもできた!
しかし、安心するのはまだ早い。
せっかくきれいだった綴じ糸周辺が黒く汚くなっているのは、
マルト―についていた、たぶん鉄部分の油焼きのカス。涙。
新しいマルト―、よく拭いてから使用するべきだったと反省です。
充分に乾かして、今度はいよいよ「耳出し」です。
エトーさんの出番。
露出している力紙の背側に表紙の芯材となるカルトンの厚み分、ボールペンで予め引いて置いた線に合わせてエトーさんのエッジに噛ませてプレス固定する。
線をボールペンで書いたのは、度々硬く絞ったスポンジで湿らせて、マルトーで叩くので鉛筆では筋が消えてしまうからだそう。
さて、耳出しのマルト―使い。
これがとにかく難しかった!
まずは背幅中央に鉛筆で天地に印を付け、そこから両サイドの外側へまずはマルト―のアヒルの口ばし状の方。手をその部分の近くを持って、
背幅真ん中から向こう側へと叩いてゆく。
反対側も同じように。
エトーさんは部屋の中央にずりずりと運ぶ。
エトーさんのぐるりを自分が移動して向きを変えながら進める。
これがなかなか難しい!まず、背の中央から均等に外へ倒れ、ない!
下手するとさっき苦労して作った丸い山そのものをつぶしてしまう。
ある程度倒れたら、
今度は背に対して縦向きに構え、マルト―の頭の丸い方を背の中央から外へ向けて、
手首のスナップを利かせながら叩く。
思うように倒れないのだ!
手首のスナップ、マルト―の当てる角度、強さ、
全く持ってどうすればそうなるのか、わからーーーーん!!!
マルト―の扱いも正解かどうかもよく分から―ーーーん!!!
口を開けば「むずかしい~!」しか出なくなってしまった。
とにかく、最終きちんと耳が出せて、背の丸みがつぶれていなくて、中央から外側へ背が均等に開いた状態になれば正解らしい。
膠はすぐ乾くのでたびたび硬く絞ったスポンジで濡らしながら、
これは根気のいる作業。
宿題になってしまった。
改めて製本家はすごい技術を持っているな。と感心した。
しかし、この私の支持体のほぐした状態と、
手先の器用でいつも仕事の美しいMさんの支持体ほぐしの差。
お恥ずかしい限り。
次回開催は、
7月23日(土)
13:00~17:00
途中参加途中退場あり
※コロナ対策のため当面の間、新規参加受付はしておりません。ご容赦くださいませ。
お問い合わせは、こちらまで。
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